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働き方改革で職場が静かになった理由|残業削減後に必要なリーダーシップとは お役立ちコラム2026.09.02

働き方改革で職場が静かになった理由|残業削減後に必要なリーダーシップとは

2019年の働き方改革関連法の施行以降、多くの企業で残業削減や定時退社、有給休暇の取得促進など、働く時間を見直す取り組みが進んできました。

長時間労働を減らし、社員の健康を守ること。
限られた時間の中で生産性を高めること。
多様な働き方を実現すること。

これらは、企業にとって非常に重要な取り組みです。

一方で、働き方改革が進んだ職場から、次のような声を聞くことがあります。

「残業は減ったが、職場の会話も減った」
「定時退社は進んだが、チームの一体感が薄くなった」
「以前より静かになったが、活気がなくなった」
「若手社員が相談しづらそうにしている」
「中間管理職だけが仕事を抱え込んでいる」

働く時間は短くなった。
しかし、職場の雰囲気や人間関係が良くなったとは言い切れない。

このような状態に心当たりはないでしょうか。

今回は、働き方改革後に起こりやすい「静かな職場」の問題と、残業削減後に管理職・リーダーに求められるリーダーシップについて考えていきます。


働き方改革というと、残業削減や労働時間の短縮を思い浮かべる方が多いかもしれません。

実際に、働き方改革関連法では時間外労働の上限規制が導入され、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用されています。

そのため、多くの企業で労働時間の管理や残業削減が重要なテーマとなりました。

しかし、働き方改革の本来の目的は、単に「早く帰ること」だけではありません。

限られた時間の中で、より良い成果を出すこと。
社員が健康に働き続けられる環境をつくること。
多様な人材が力を発揮できる職場をつくること。

つまり、時間を減らすことはゴールではなく、より良い働き方を実現するための出発点です。

ところが現場では、残業削減そのものが目的化してしまうことがあります。

「とにかく早く帰る」
「残業をしない」
「業務時間外の会話を減らす」

こうした取り組みだけが先行すると、職場から必要な対話まで失われてしまうことがあります。


定時になると、社員が一斉にパソコンを閉じて帰る。
余計な雑談は少なく、業務中も静かに仕事をしている。
会議も短くなり、業務連絡もチャットで完結する。

一見すると、効率的で無駄のない職場に見えるかもしれません。

しかし、その静けさの中に、次のような問題が隠れている場合があります。

  • 若手社員が相談するタイミングを失っている
  • 困っている人に周囲が気づきにくくなっている
  • 上司と部下の会話が業務連絡だけになっている
  • 雑談が減り、心理的安全性が下がっている
  • 中間管理職だけが仕事を抱え込んでいる
  • 職場の活気や一体感が薄れている

もちろん、無駄な残業や意味のない長時間の付き合いを戻す必要はありません。

大切なのは、長く職場にいることではありません。

限られた時間の中で、必要な対話ができているかどうかです。

職場が静かであること自体が問題なのではありません。

問題は、静けさの裏で、相談・共有・承認・フィードバックといった人と人との関わりが弱くなっていることです。


働き方改革によって、労働時間が短くなることは重要です。

しかし、時間を短くしただけで、社員のエンゲージメントや職場の活気が自然に高まるわけではありません。

Gallupの日本向けデータでは、日本の従業員エンゲージメントは低い水準にあることが示されています。

これは、職場における人との関係性や、仕事への意味づけ、成長実感、上司との関わり方が、働きがいに大きく影響していることを考えさせられます。

社員は、単に「早く帰れる」だけで仕事に前向きになるわけではありません。

自分の仕事に意味を感じられること。
自分の成長を実感できること。
困った時に相談できること。
上司や同僚との信頼関係があること。
チームの一員として貢献している感覚があること。

こうした要素があってこそ、職場の活気やエンゲージメントは高まります。

つまり、働き方改革後の組織に必要なのは、単なる時間管理ではなく、人と人との関係性を高めるマネジメントなのです。


働き方改革後の職場で見落とされやすいのが、中間管理職の負担です。

残業削減が進む一方で、業務量そのものが十分に減っていない場合、現場のしわ寄せが管理職に集中することがあります。

部下には早く帰ってもらう。
しかし、終わらない仕事は管理職が引き取る。
トラブル対応や調整業務は管理職が担う。
部下育成や1on1も求められる。
上からは成果や生産性も求められる。

このような状態では、管理職は孤立しやすくなります。

表面的には残業が減っているように見えても、その裏で管理職が黙々と業務を抱え込んでいる場合、職場全体が健全とは言えません。

また、管理職に余裕がなくなると、部下との対話にも影響が出ます。

忙しそうな上司には相談しにくい。
ちょっとした報告が遅れる。
フィードバックが減る。
褒める、認める、成長を支援する時間が後回しになる。

その結果、若手社員や部下は「見てもらえていない」と感じやすくなります。


「不機嫌な職場」とは、誰かが常に怒っている職場という意味だけではありません。

声をかけづらい。
相談しづらい。
困っていても助けを求めにくい。
雑談がなく、空気が重い。
上司も部下も余裕がない。

このような状態も、不機嫌な職場と言えるのではないでしょうか。

そして、その背景には対話不足があります。

必要な情報共有がされていない。
仕事の意味や目的が伝わっていない。
小さな不安が放置されている。
部下の変化に気づけていない。
上司自身も悩みを相談できていない。

職場の不機嫌さは、突然生まれるものではありません。

日々の小さな対話不足が積み重なり、少しずつ空気を重くしていきます。

だからこそ、リーダーには、職場の空気を意識して整える役割があります。


これからの職場に必要なのは、昔のように長く職場に残って関係性を築くことではありません。

限られた時間の中で、対話の質を高めることです。

例えば、管理職やリーダーには次のような関わりが求められます。

1.「最近どう?」で終わらせない

1on1や面談で「最近どう?」と聞くだけでは、部下の本音や課題は見えにくいものです。

「今、仕事で一番時間がかかっていることは何か」
「最近、相談しづらいと感じた場面はあるか」
「今の仕事で、成長を感じている部分はどこか」

このように、問いを具体化することで対話の質は高まります。

2.小さな変化に気づく

部下の表情、相談の頻度、発言量、報告のタイミングなど、小さな変化に気づくことも重要です。

「最近、少し元気がなさそうだけど大丈夫?」
「前より報告が早くなったね」
「この部分、自分で考えて進められていたね」

こうした声かけが、部下に安心感を与えます。

3.承認とフィードバックを具体的に行う

「頑張っているね」だけではなく、何が良かったのか、どこが成長したのかを具体的に伝えることが大切です。

具体的なフィードバックは、部下の成長実感につながります。

4.管理職が一人で抱え込まない

管理職自身が孤立していると、部下を支える余裕がなくなります。

管理職同士が悩みを共有する場や、上司が管理職を支援する仕組みも必要です。


働き方、技術、価値観、組織のあり方は時代とともに変化します。

しかし、リーダーシップの本質は大きく変わりません。

それは、
人に関心を持ち、人の力を引き出すこと
です。

長時間働かせることがリーダーシップではありません。

厳しく管理することだけがリーダーシップでもありません。

限られた時間の中で、部下と向き合い、対話し、成長を支援すること。
チームの状態を見て、必要な関わりを行うこと。
人と人とのつながりをつくり、安心して力を発揮できる環境を整えること。

これが、現代の管理職に求められるリーダーシップではないでしょうか。

働き方改革によって時間の使い方が変わった今こそ、リーダーには「人との向き合い方」を見直すことが求められています。


働き方改革によって、長時間労働の是正や残業削減は多くの企業で進んできました。

しかし、残業を減らすことだけでは、職場の活気やエンゲージメントは自然には高まりません。

むしろ、時間短縮だけが先行すると、職場の会話や関係性が薄れ、「静かな職場」「不機嫌な職場」になってしまう可能性があります。

これからの組織に必要なのは、働く時間の見直しに加えて、対話の質を高めることです。

  • 部下の小さな変化に気づく
  • 相談しやすい空気をつくる
  • 仕事の意味や目的を伝える
  • 成長を具体的に認める
  • 管理職が一人で抱え込まない仕組みをつくる

こうした取り組みが、職場の活気や人材育成につながります。

時代が変わっても、リーダーシップの本質は、人と向き合い、人の力を引き出すことにあります。

働き方改革の次に必要なのは、対話改革です。

限られた時間の中で、どれだけ人に関心を持ち、質の高い対話ができるか。

そこに、これからのリーダーシップの本質があるのではないでしょうか。


「次回は、静かな職場の裏側にある“現代の管理職の孤立”について考えます。」

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