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なぜ最近の若手は質問しないのか?|“考えていない”のではなく、“間違えることを恐れている” お役立ちコラム2026.06.16

なぜ最近の若手は質問しないのか?|“考えていない”のではなく、“間違えることを恐れている”

前回の記事では、
「なぜ優秀な若手ほど辞めるのか?」というテーマで、若手社員の離職や定着について考えました。

今回は、その続きとして、研修現場でも職場でもよく聞かれるテーマを取り上げます。

それは、

「最近の若手は、なぜ質問しないのか?」

ということです。

新人研修や若手研修を担当していると、講師からよく挙がる所感があります。

「理解力は高い」
「指示には素直に従う」
「真面目に取り組んでいる」

その一方で、

「質問が少ない」
「分からないことを自分から聞けない」
「周囲の様子を見てから動く」

という傾向も見られます。

では、これは本当に「考えていない」からなのでしょうか。


職場では、若手社員に対して、

「分からないなら聞けばいいのに」
「もっと自分から質問してほしい」
「何を考えているのか分からない」

と感じる場面があるかもしれません。

しかし、実際には若手社員の多くが、何も考えていないわけではありません。

むしろ、頭の中ではいろいろ考えています。

ただ、その考えを言葉にする前に、こんな不安がよぎるのです。

  • こんなことを聞いたら、分かっていないと思われるのではないか
  • 的外れな質問だったら恥ずかしい
  • 先輩や上司の時間を奪ってしまうのではないか
  • 評価が下がるのではないか
  • 周りから浮いてしまうのではないか

つまり、質問しない背景には、
「間違えたくない」「評価を下げたくない」という心理があるのです。


経験のある上司や先輩からすると、
「分からないなら聞けばいい」と思うかもしれません。

しかし、新人や若手にとって、
「分かりません」と言うことは、意外と勇気がいるものです。

特に入社して間もない時期は、

「できる人だと思われたい」
「迷惑をかけたくない」
「変な質問をして印象を悪くしたくない」

という気持ちが働きます。

その結果、分からないことがあっても、
すぐに聞けずに自分の中で抱え込んでしまう。

そして時間が経ち、さらに聞きづらくなる。

このような悪循環が起きることがあります。


最近の若手社員は、他者からどう見られるかに対して非常に敏感です。

SNSや学校生活の中で、
周囲との違いや評価を意識しながら過ごしてきた人も多いでしょう。

そのため、職場でも、

「目立って間違えたくない」
「一番手になりたくない」
「できない人だと思われたくない」

という心理が働きやすいのです。

これは、決して甘えではありません。

むしろ、慎重で、周囲をよく見ているからこそ起こる反応とも言えます。

ただし、その慎重さが強くなりすぎると、
質問や挑戦の機会を失ってしまいます。


若手が質問しない時、本人だけの問題として捉えてしまうのは少し危険です。

もしかすると、職場の側に
「質問しにくい空気」 があるのかもしれません。

例えば、

  • 忙しそうな上司に声をかけづらい
  • 質問すると「前にも言ったよね」と言われる
  • 間違えた発言をすると空気が重くなる
  • 相談よりも自己解決が求められる
  • 質問する人が少なく、周囲の目が気になる

こうした環境では、若手は自然と質問を控えるようになります。

そして上司側は、
「最近の若手は聞いてこない」
と感じる。

しかし実際には、
聞きたくても聞けない状態になっている可能性があります。


では、若手が質問しやすい職場をつくるには何が必要でしょうか。

大切なのは、心理的安全性です。

心理的安全性というと難しく聞こえるかもしれませんが、
簡単に言えば、

「分からないことを分からないと言っても大丈夫」
と思える空気のことです。

そのために、上司や先輩ができることは決して大きなことではありません。

例えば、

「質問してくれて助かるよ」
「そこ、分かりづらいよね」
「確認してくれてありがとう」
「最初は分からなくて当然だよ」
「途中でもいいから、一度相談してね」

こうした一言があるだけで、若手はかなり安心します。

逆に、

「なんで分からないの?」
「それ、前にも言ったよね」
「自分で考えて」

という言葉が続くと、質問するハードルは一気に上がります。


よくあるのが、

「分からなかったら聞いてね」

という声かけです。

もちろん悪い言葉ではありません。

しかし、それだけでは質問が出てこないこともあります。

なぜなら、若手にとっては、
「どのタイミングで聞けばいいのか」
「どの程度考えてから聞けばいいのか」
「何を整理して聞けばいいのか」
が分からないからです。

だからこそ、もう一歩具体的に伝えることが大切です。

例えば、

「10分考えて分からなければ聞いてね」
「途中経過でもいいから、一度見せてね」
「質問するときは、分からない点を1つだけメモして持ってきてね」
「迷ったら、A案とB案を持って相談してくれれば大丈夫」

このように、質問の仕方まで具体化すると、若手は動きやすくなります。


質問が少ない若手に対して、
「主体性がない」と決めつけてしまうのは簡単です。

しかし、質問する力も、実は育てるものです。

最初から的確な質問ができる人ばかりではありません。

だからこそ、上司は質問の質だけを見るのではなく、
質問しようとした姿勢を認めることが大切です。

「その視点で考えたのはいいね」
「今の質問は大事だね」
「そこに疑問を持てたのは成長だね」

こうしたフィードバックがあると、
若手は少しずつ質問することに前向きになります。

質問は、思考の入口です。

質問が増えるということは、
考える機会が増えるということでもあります。


最近の若手は質問しない。

そのように感じた時、
まず問い直したいことがあります。

「この職場は、質問しても大丈夫な空気になっているだろうか?」

若手が質問しない背景には、
考えていないからではなく、
間違えることを恐れている心理があります。

だからこそ必要なのは、

  • 分からないと言える空気
  • 質問しても評価が下がらない安心感
  • 具体的に質問しやすくする工夫
  • 質問したことを認めるフィードバック

です。

若手育成において大切なのは、
質問しないことを責めることではありません。

質問できる環境をつくること。

そして、質問を通じて考える力を育てることです。

「分からない」と言える職場は、
人が育つ職場です。

若手が安心して質問できる空気を、
日々の小さな声かけからつくっていきたいものです。

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