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後継者問題に悩む中小企業の経営者へ:事業承継を成功させるポイントとは? お役立ちコラム2025.02.05

後継者問題に悩む中小企業の経営者へ:事業承継を成功させるポイントとは?

近年、日本の中小企業における後継者問題が深刻化しています。経営者の高齢化が進む一方で、後継者が見つからない、あるいは十分に育成されていない企業が多く存在します。このままでは、黒字経営の企業であっても事業継続が困難となり、地域経済や雇用にも大きな影響を及ぼしかねません。この問題の現状と解決策を説明します。

この記事でわかること

  • 後継者問題の現状と背景の分析
  • 適切な後継者選定の方法
  • 円滑な事業承継の進め方

1.後継者問題の現状と背景

後継者不在の企業が多い理由

日本の中小企業における後継者問題は、帝国データバンクの調査によれば、数字上は改善の兆しが見え、2024年には全国の後継者不在率は52.1%でした。この後継者不在率は過去最低となりましたが、改善のペースは鈍化しています。特に「50代・60代」の経営者層において後継者不在が深刻化していて、事業承継の準備が十分に進んでいない現状が浮き彫りになっています。

後継者が見つからない主な理由として、以下の要因が挙げられます。

  • 少子高齢化による後継者候補の減少
  • 経営環境の変化に対する先行き不安
  • 事業承継の準備不足
  • 子供が事業を継がないケースの増加

このような背景がある中、後継者問題を放置すると企業の存続に関わるだけでなく、従業員の雇用や地域経済にも深刻な影響を与えるため、早急な対応が必要です。

(参考)全国「後継者不在率」動向調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]

2.後継者の選定方法:どのように決めるべきか?

後継者の選定には、主に以下の方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、企業に適した方法を選ぶことが重要です。

(1)親族内承継の推進

家族内で後継者を選び、事業を引き継ぐ方法です。企業文化や価値観の継承がスムーズに進むという利点がありますが、近年では「子供が事業を継がない」ケースも増えており、難易度が上がっています。

(2)社内からの後継者選定(内部昇格)

親族以外の幹部社員やベテラン社員を昇格させる方法です。企業の業務や文化を理解した人材が後継者になるため、スムーズな承継が可能です。実際、前述の帝国データバンクの2024年の調査では「内部昇格」が事業承継の最も一般的な形態(35.5%)となりました。

(3)M&Aの活用

後継者が親族内や社内で見つからない場合、M&A(企業の合併・買収)を活用することも一つの解決策です。M&Aを通じて、事業を引き継ぐ意欲と能力を持つ第三者に事業を承継することで、企業の存続と発展を図ることができます。これにより、事業の継続性を確保し、従業員の雇用も守ることが可能です。M&A件数は近年増加傾向で推移しています。

(4) 組織全体の経営力向上

個人として後継者を選ぶのが難しくなっている今、個人に依存しない経営チームの強化や、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を行い、組織全体で事業継続力を高めることも重要です。

3. 事業承継を円滑に進めるための具体的な取り組み

事業承継は一朝一夕に進められるものではなく、長期的な視点で計画的に準備を進めることが重要です。具体的には、事業承継計画の策定、後継者の選定と育成、財務状況の整理、関係者とのコミュニケーションなど、多岐にわたる準備が求められます。
ここでは、「社内での後継者の選定と育成」に焦点を当て、後継者が経営者としての役割を十分に果たすためには、どのような取組みが必要か見ていきます。

(1)後継者の選定段階

  • 求めるリーダー像の明確化:まず、企業の将来ビジョンや経営方針に沿ったリーダーシップ像を定義します。これにより、後継者に必要な資質や能力が明確になり、選定基準が定まります。
  • 社内人材の評価と適性検査:社内の潜在的な後継者候補者を評価するために、適性検査やパフォーマンスレビューを実施します。これにより、候補者の強みや弱み、リーダーシップの潜在能力を客観的に把握できます。
  • メンター制度の導入:経験豊富な経営者や上級管理職がメンターとなり、候補者と定期的に対話する機会を設けます。これにより、候補者の価値観や意欲を深く理解し、適性を見極めることができます。
  • キャリアプランの策定
    後継者候補とともに長期的なキャリアプランを策定し、目標設定や必要なスキルの明確化を行います。これにより、後継者は自分の成長の道筋を理解し、モチベーションを高めることができます。

(2)後継者の育成段階

  • 経営知識の習得:後継者には、経営戦略、財務、人事、マーケティングなどの知識が求められます。外部の経営セミナーやビジネススクールへの参加も有効です。
  • 実務経験の積み重ね:社内での実務経験を通じて、業務の流れや従業員との関係性を理解させます。例えば、重要なプロジェクトのリーダーを任せることで、リーダーシップを養います。
  • 外部経験の提供:特に親族内承継の場合は、他社での勤務経験を通じて、広い視野や新しいビジネスモデルの理解を促します。これにより、自社の経営に新しい視点を取り入れることができます。
  • コミュニケーション能力の向上:社内外の関係者との円滑なコミュニケーションは、経営者にとって不可欠です。プレゼンテーション研修や交渉スキル向上のためのワークショップを提供し、後継者の対人スキルを強化します。
  • 企業文化と価値観の継承:企業のミッションやバリュー、歴史を深く理解させるためのセッションを設けます。これにより、後継者が企業の文化を尊重し、従業員との信頼関係を築く基盤を作ります。

(3)社員のモチベーション向上

後継者の承継後、社員の不安を軽減し、新体制へのスムーズな移行を促すためには、以下の施策が必要です。

  •  透明性のある情報共有
    事業承継のプロセスや新経営者のビジョン、経営方針を従業員に対して積極的に共有し、従業員の不安を軽減し、新体制への理解と協力を促進できます。
  •  従業員との対話の促進
    新経営者が直接従業員と対話し、意見や要望を聞く場を設けることで、信頼関係を構築します。
  •  企業文化の継承と尊重
    新しいリーダーが既存の企業文化や価値観を尊重し、必要に応じて新旧の文化を融合させることで、従業員の安心感を高めます。急激な変革は抵抗を生む可能性があるため、段階的なアプローチが望ましいです。
  •  従業員のキャリア支援
    事業承継に伴い、従業員の役割や責任が変わる場合、適切な研修やキャリア支援を提供します。
  •  公正な評価と報酬制度の維持
    新体制下でも、公正な評価と報酬制度を維持・強化することで、従業員のやる気を維持します。

まとめ

後継者問題の解決には、計画的なアプローチが不可欠です。
親族内承継・社内昇格・M&A・組織強化など、企業に適した方法を選び、早めの準備を行うことで、円滑な事業承継が可能となります。さらに、後継者の育成や組織のモチベーション向上施策を取り入れることで、企業の持続的な発展と地域経済の安定を実現できます。

最後に

オーダーメイドの研修手法と運営で企業の課題解決をお手伝いするHuAdでは、企業理念の浸透と実践型研修、愛のある人材育成でインクルーシブな社会創りに貢献していきます。お気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。

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