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若手社員が辞めない会社をつくるには? 離職防止の実践的アプローチ お役立ちコラム2025.02.26

若手社員が辞めない会社をつくるには? 離職防止の実践的アプローチ

「なぜ、うちの若手はすぐ辞めてしまうのか?」

この問いに頭を悩ませる企業の方は多いのではないでしょうか。かつては3年、5年と勤めて一人前になるのが当たり前でしたが、今では数年どころか、入社直後から転職を視野に入れる若手も珍しくありません。しかし、それは必ずしも「根気がない」わけではなく、仕事観やキャリア観の違いが大きく影響しています。

本記事では、若手社員の離職の現状をデータを交えて分析し、なぜ若手が離職を考えるのか、その背景を探ります。そして、企業が取り組むべき実践的な離職防止策を具体的にご提案します。

この記事でわかること

  • 若手離職の理由 – 価値観やキャリア観の変化。
  • 離職防止策 – 採用時の工夫、成長支援、心理的安全性の確保。
  • 管理職の役割 – 若手の価値観を理解し、適切な指導を行う。
  • 企業の課題 – 若手が成長できる環境を整え、定着率を向上。

1.若者離職が増えている現実

企業の人事担当者にとって、若手社員の早期離職はますます大きな課題となっています。厚生労働省の調査によれば、新卒3年以内の離職率は、大卒で約34.9%、高卒で約38.4%と依然として高い水準にあります。(新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)

さらに、新卒者の一部は就職する前から転職サイトに登録し、常に「より良い環境」を求める動きを見せています。

なぜこのような状況になっているのでしょうか?

その背景には、若手社員の価値観や働くことに対する考え方が、従来の世代とは大きく異なっていることが、関係しています。「離職率が高い=働く意欲が低い」と短絡的に判断するのは危険です。
なぜなら、若手社員は単に「楽をしたい」と考えているわけではなく、
自分にとって最適な環境を求める行動を取っている結果の表れとも言えるからです。

2.就職前に転職サイトに登録する若者も

近年、内定を得たにもかかわらず、入社前にすでに転職サイトに登録する新卒者が増えています。この行動を「会社に対する忠誠心がない」と捉えるのは早計です。
彼らの多くは「自分の市場価値を知りたい」「万が一のために準備しておきたい」と考えています。

また、情報の流通スピードが速まる中、SNSやオンラインメディアによって「転職はキャリアアップの手段」として一般化しました。これは、かつての「終身雇用」概念が薄れ、「働きやすい環境を選ぶ自由」があることが浸透している表れと言えます。こういった変化は若手社員の価値観にも影響を及ぼしています。

3.離職の理由:「就職」に対する価値観の違い

若手社員の早期離職を防ぐためには、そもそも「就職」に対する価値観が従来と異なることを理解することが不可欠です。従来の世代は、「1つの会社で長く勤めること」が当たり前とされていましたが、今の若者は「成長の実感」「ワークライフバランス」「社風のフィット感」を重視する傾向が強いです。

(1)キャリア形成の考え方の違い

過去の世代では、例えばゲームに関して、「1つのゲームソフトを買ったら、それを徹底的にやり込む」というスタイルが一般的でした。しかし、今の若者は「スマホゲームやサブスクで、気に入ったものを試しながら楽しむ」スタイルが主流です。他にも、映画やドラマを見るにも「タイパ(タイムパフォーマンス/時間の効率性)」を気にするなど、数多ある情報や娯楽を、限られた時間の中でいかに合理的に効率よく消費し楽しむかという発想が日常になっています。

この考え方は仕事選びにも反映されており、「まずやってみて、合わなければ次へ」という試行錯誤型のキャリア観が根付いています。つまり、長く続けることよりも、いかに効率よく経験を積み、成長できる環境を見つけられるかが重視されているのです。そのため、会社の方針や働き方が自分の期待と合わないと感じた場合、早期に転職を決断することも珍しくありません。

仕事においてもこれと同様に、「1社にしがみつくより、いろんな職場を経験して自分に合う環境を見つける」ことが合理的と考えています。

(2)社会への不安

加えて、現代の若者は、生まれた時から現在まで、あまり景気の良い時期を経験していません。そのため、経済の先行き不透明感、終身雇用制度の崩壊、年金制度の不安など、かつての世代があまり意識しなかった社会的リスクを強く感じています。これによって、「1つの会社に頼るのは危険」と考え、常に選択肢を確保する行動を取るのです。

4.すぐに離職するわけではない

では、転職サイトに登録した若者がすぐに辞めるか、というとその結論に急ぐのは早計であり、そこには誤解があります。転職サイトに登録している若者の多くは、「今の会社で頑張れるなら続けたい」と考えています。これは、「選択肢を持つこと」と「すぐに転職すること」は別であることを示しています。

むしろ、若者の本音は「今の職場で成長できるかどうか」がカギとなっています。前述のように、今の若者は、「成長の実感」」「ワークライフバランス」「社風社風のフィット感」を重視しています。これらの点について企業側が適切なフォローを行うことで、定着率は向上する可能性が十分にあります。

5. 若手離職を防ぐための具体策

(1)採用時の工夫

リアルな職場環境を伝える採用戦略

  • 採用時に業務の魅力だけでなく、実際の厳しさや課題も率直に伝え、入社後のギャップを防ぐ。
  • インターンシップや職場見学を充実させ、入社前に実際の職場環境を体験できる機会を提供する。
  • 選考時に「企業文化との適合度」を重視し、単なるスキルマッチだけでなく価値観の一致を重視する。

応募者のキャリア観を深く理解する面接

  • 応募者の「キャリア観」を深く掘り下げる質問をし、どのような成長を求めているのかを把握する。
  • 長期的なキャリア形成に関する情報提供を行い、社内でのキャリアパスを具体的に示す。1年後、3年後のキャリアパスを明確に示すなどして、若手社員が気にする「成長のタイパ」を見せる。

(2)入社後のフォロー

キャリア開発のサポート

  • 入社後3カ月、6カ月、1年の節目でキャリア相談の機会を設け、不安を軽減。
  • 研修・スキルアップ制度を充実させ、成長実感を持たせることで定着率向上を図る。

心理的安全性の確保

  • 上司や先輩との定期的な1on1ミーティングを実施し、若手が自由に意見を述べられる環境をつくる。
  • 若手社員同士の交流会を実施し、仲間意識を醸成する。

(3)先輩社員・上司の教育

若手の価値観を理解する管理職向け研修

  • 「若手が求める仕事観」を知る研修を実施
    • 従来の「上意下達」の指導スタイルではなく、個々の価値観やキャリア志向を尊重するマネジメント手法を学ぶ。
    • 仕事に求めるものが「安定」から「成長実感」「職場の快適さ」へシフトしていることを理解する。
    • 「自分の意見を尊重される職場」「柔軟な働き方が可能な環境」が重視される点を、具体的な事例とともに学ぶ。
  • フィードバックの質を向上させ、ポジティブな指導方法を学ぶ
    • 「できていないこと」を指摘するだけではなく、「どのように改善すれば良いか」を伝えるコーチング技術を取り入れる。
    • 「褒める文化」を推奨し、若手が努力のプロセスを評価される環境を作る。
    • 1on1ミーティングの実施頻度と内容を見直し、成長を実感できる具体的なアドバイスを行う。

コーチングスキルの向上

  • 成果より成長プロセスを評価する仕組みを構築
    • 若手がやる気を持続するためには、単に結果を求めるのではなく、試行錯誤の過程を評価することが重要。
    • 例えば、「プロジェクトの成功」だけでなく「新しい提案を積極的に行ったか」「挑戦する姿勢を持てたか」などを評価ポイントに加える。
    • 失敗を恐れず挑戦できる文化を醸成し、積極的に新しいことに取り組むことを推奨する。
  • 定期的なフィードバック機会を増やす
    • 年に1回の評価面談ではなく、月次・四半期ごとのフィードバックを実施し、進捗を確認。
    • 「個人の強みを伸ばす」コーチングを意識し、若手が自信を持てるようサポート。
    • 上司自身がコーチングスキルを高めるためのトレーニングを受け、質の高い指導を提供できる環境を作る。

(4)離職後の現実を伝える

転職のリスクと現実をデータで示す

  • 短期離職後のキャリアリスク(給与の低下、転職回数の影響など)を具体的なデータを交えて伝える。
  • 転職を前提とせずに、現在の職場での成長機会を探るサポートを行う。

社内キャリアの選択肢を提示

  • 他部署への異動や新しいプロジェクトへの参加を促し、職場内での成長機会を提供する。
  • 経営層が若手と直接対話する場を設け、将来的なキャリアの可能性を示す。

これらの取り組みにより、若手社員が離職を選択する前に「この会社で成長できる」と感じられる環境を整え、定着率の向上を実現する。

6. まとめ

若手の離職防止には、「価値観の違いを理解すること」と「適切な環境を整えること」が欠かせません。企業側が「とにかく辞めさせない」ことを目的にするのではなく、「この会社で成長できる」と思える職場づくりを目指すことが、結果として定着率向上につながります。

若者の行動の背景には、合理的な思考があることを理解し、より柔軟で実践的な対策を講じることで、企業の成長と若手のキャリア形成を両立させることが可能です。

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