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企業研修で問われる「コミュニケーション力」とは?──“ある・ない”では測れない本質を探る お役立ちコラム2025.04.02

企業研修で問われる「コミュニケーション力」とは?──“ある・ない”では測れない本質を探る

「コミュニケーション力」は、ビジネススキルや社員研修のテーマとして頻繁に取り上げられるキーワードです。しかしその中身は、人によって捉え方が異なり、本質を捉えるのが難しいテーマでもあります。

「コミュニケーション力が大切だ」と言われる場面は、どの階層・年代の研修でも必ずと言っていいほど出てきます。
新入社員には「報連相ができるようになってほしい」、中堅層には「チーム内の連携を高めてほしい」、管理職には「部下との信頼関係を築いてほしい」など、その求められ方は多様です。

本コラムでは、社員研修を企画・実施される人事担当者やマネジメント層に向けて、「コミュニケーション」という言葉の本質と、誰もが育てられる力であることを紐解いていきます。

◆ このコラムでわかること

  • 「コミュニケーション力がある/ない」はどう判断されているのか、その実態
  • 表面的な会話スキルと、信頼関係を築く“深い”コミュニケーションとの違い
  • コミュニケーション力に“段階”があるという考え方と、その育て方
  • 傾聴力が、職場での信頼構築や円滑なコミュニケーションにどう影響するか

1.「コミュニケーション力がありますか?」という問いの正体

研修の中で、「あなたは自分にコミュニケーション力があると思いますか?」という問いを投げかけると、多くの方がこう答えます。

  • 「初対面でも臆せず話しかけられるので、あると思います」
  • 「人と話すのが苦手なので、自信がありません」
  • 「会話が続かないので、ないと感じます」

このような回答に共通しているのは、“話す力=コミュニケーション力”という認識です。 つまり、スムーズに話せること、会話をつなげられること、場を盛り上げられることなど、発信スキルが中心のイメージで語られているということです。

しかし本来、コミュニケーションとはそれだけではありません。 たとえば、「話すのは苦手だけれど、相手の話をじっくり聴ける」「無口だが、信頼されている」という人も、実は高いコミュニケーション力を持っていると言えるのではないでしょうか。

2.コミュニケーションの定義に立ち戻る

現代における「コミュニケーション」の定義としては、次のような内容が挙げられます:

  • 情報や意見、感情、意図などをやり取りすること
  • 相手と相互に理解し合うことを目的としたプロセス
  • 単なる“伝達”ではなく、“理解と共有”を目指すもの

このように、コミュニケーションとは「話す力」に限られたものではなく、むしろ「理解し合う」ことに主眼が置かれています。

したがって、本来の意味でのコミュニケーション力とは、

  • 「伝える」だけでなく、「受け取る」「理解する」ことを含んだ総合的な能力であること
  • その中心には「聴く力」が据えられていること

が重要なポイントになります。

実際、組織やチーム内でのすれ違いや衝突の多くは、「話す力」の不足ではなく、「聴く力」の欠如によって引き起こされています。相手の立場や背景、意図を理解しようとするプロセスがなければ、どれだけ発信が的確であっても、それは“届かない”コミュニケーションになってしまうのです。

3.コミュニケーションには“層”があるという考え方

ここまでで、コミュニケーションには「発信」だけでなく「受信」、特に「聴く力」が重要であることを確認しました。さらにここで、もう一つの視点として、「コミュニケーションには“層”がある」という考え方を提示します。

日常の中で使われる「コミュニケーション力」は、実は段階的に深まっていく構造を持っています。例えば次のように、5つの層に分けて理解することができます:

  • 第1層:接触・きっかけ
    あいさつ、雑談、初対面で話しかけるなど、関係性の入り口となる行動。
  • 第2層:表層的な会話
    話題をつなぐ、場を盛り上げる、会話を広げるといった、言葉のキャッチボール。
  • 第3層:内面への理解
    相手の話を傾聴し、共感し、背景までくみ取るような深い対話。
  • 第4層:関係の構築と維持
    信頼関係を築き、率直なやりとりができる安心できる関係性。
  • 第5層:相互影響・協働
    共通目的を見いだし、建設的な対話を重ねながら、チームとして成果を生み出す段階。

多くの人が「コミュニケーション力がある」と認識しているのは、第1〜2層までの力であることが多いです。つまり、「誰とでも話せる」「会話を盛り上げられる」といったスキルです。

一方で、組織の中で求められるコミュニケーション力は、第3層以降に存在しています。「相手を理解し、関係を築き、共に成果を生み出す」ためには、より深いレベルでの関係性と信頼が必要です。

4.信頼関係と「聴くこと」の関係性

“信頼は聴くことから始まる”──これはコミュニケーションの深層に進むための出発点です。

人は、自分の話をしっかりと聴いてもらえたときに、「理解された」と感じます。この“理解された”という感覚が、安心感や信頼へとつながっていきます。

逆に、どれだけ流暢に話しても、相手の話を聴く姿勢がないと、「伝わらない」「わかってもらえていない」という印象を与えてしまいます。

つまり、信頼を築く上でまず求められるのは、「話し上手」であることではなく、「聴き上手」であることです。具体的には以下の姿勢や態度が必要です。

  • 相手の言葉の奥にある感情や意図をくみ取ろうとする姿勢
  • 評価せずに最後まで耳を傾ける態度
  • 相手の話に対して関心や共感を返す反応

こうした行動の積み重ねが、やがて「この人には本音を話せる」「相談できる」と思える関係性を生み出します。

5.「あるがまま聴く」ことの難しさと、伝える力の意味

「聴くこと」の重要性を理解していても、実際に“あるがまま”に聴くことは簡単ではありません。多くの場合、私たちは「相手の話を理解しよう」とするより先に、「どう答えるか」「どう助言するか」を考えながら聴いています。

この“答えるために聴く”姿勢は、表面的には相手に向き合っているようでいて、実は自分の反応に意識が向いてしまっている状態です。その結果、相手の本当の思いや背景を見落としてしまい、コミュニケーションがすれ違うこともあります。

真の意味での「聴く」とは、評価や解釈を一旦脇に置いて、相手の言葉や感情をそのまま受け取ろうとすることです。

そして、十分に相手の話を聴いたうえで、自分が「伝える」ことの重みも変わってきます。相手の立場や思いを理解した上で話す言葉は、一方的な主張ではなく、関係を築く対話として機能します。

聴くことはゴールではなく、対話の入口。相手を理解し、そして自分の思いを伝える。この循環の中にこそ、深いコミュニケーションが生まれるのです。

6. 「7つの習慣」に見るコミュニケーションの本質

この「聴くこと」から始まるコミュニケーションの在り方は、スティーブン・R・コヴィー氏による『7つの習慣』の中でも繰り返し語られています。中でも、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」は、まさに本質を突いた言葉です。

深い信頼関係を築くには、まず自分が相手を理解しようと努めること。そしてその理解の先に、自分の考えや意図を伝えるという順序が大切であると説いています。

この考え方は、HuAdの「コミュニケーション研修」でも中核をなす考え方であり、傾聴スキル・人材育成・信頼関係構築といったビジネスコミュニケーションの土台として活用されています。

7. 「ない」と思っている人にこそ伝えたい──コミュニケーション力は“育てるもの”

「話すのが苦手」「雑談ができない」と感じている人も、本質的なコミュニケーション力の観点では、むしろ可能性に満ちています。

  • 相手の話を丁寧に聴くこと
  • その思いや背景を理解しようと努めること
  • 信頼関係を築いたうえで、自分の考えを伝えること

こうした姿勢と行動の積み重ねこそが、深いコミュニケーション力を育んでいきます。

特別な才能が必要なわけではありません。まずは、目の前の相手に関心を持ち、真摯に耳を傾けること。その一歩が、職場でも日常でも、人との関係を変えていく大きな力になります。

コミュニケーション力とは、「ある・ない」で判断するものではなく、誰もが育てていける力です。

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