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「主体的である」とは何か?『7つの習慣』に学ぶ自律型人材の育て方 お役立ちコラム2025.04.23

「主体的である」とは何か?『7つの習慣』に学ぶ自律型人材の育て方

「もっと主体性を持ってほしい」「主体性を発揮できる人材を育てたい」
そういった声は、多くの企業の人材育成現場で聞かれます。

ただ、「主体性がある」とは、具体的にどのような状態を指しているのでしょうか。
「言われなくても自ら動けること」なのか、それとも「自分の考えを持って行動できること」なのか。
あるいは「自分で責任をもって判断・実行できること」なのか。
言葉としてはよく使われている一方で、その“中身”は曖昧なまま理解されていることも少なくありません。

本コラムでは、「主体性とは何か」を掘り下げながら、
書籍『7つの習慣®』で語られる「第一の習慣:主体的である」という視点を通して、
今、ビジネスパーソンに本当に求められている“自律的な在り方”について整理していきます。

◆ このコラムでわかること

  • 内発的動機と外発的動機の違いと、それぞれが効果を発揮する場面
  • 「主体性」と「主体的である」の違いと、それぞれの意味
  • 「自主性」との違いを通じて見える、ビジネスで本当に求められる力
  • 『7つの習慣®』における「第一の習慣:主体的である」の本質
  • 主体性を行動だけで終わらせないために必要な“責任”と“在り方”
  • 組織で「主体的な人材」を育てるための考え方と育成のヒント

「主体性を発揮してほしい」とは、多くの研修や評価制度で使われるフレーズです。
「受け身ではなく、自ら動ける人材」「上司に言われなくても、自発的に業務を進められる社員」など、
イメージとして語られることは多いものの、明確な定義として共有されているケースは意外と少ないのではないでしょうか。

実際に、「主体性がある」と評価される人を見てみると、
✅ 言われたこと以上のことに取り組む
✅ チームや周囲の課題に気づき、積極的に提案する
✅ 自分の業務に責任感を持ち、やり切る
などの傾向が見られます。つまり、どちらかといえば「行動の量・スピード・積極性」に主眼が置かれていることが多いのです。

もちろん、それらは業務において非常に重要な資質です。
しかし、「行動できていれば主体性がある」と判断してしまうと、本質的な部分を見落とす恐れもあります。
特に、近年のように自律的な人材育成やリーダーシップ開発が求められる時代においては、
“なぜその行動を取るのか”という思考の在り方こそが問われるべき軸なのです。

2.主体性と自主性の違い——“自発的に動ける”だけでは足りない

「主体性」と似た言葉に、「自主性」があります。
両者は混同されやすいのですが、その違いを明確にしておくことはとても重要です。

自主性とは、「他者に指示されなくても、自ら進んで行動できること」を意味します。
たとえば、日々のルーティン業務やルールを理解し、それを言われる前に実行できる人は、非常に高い自主性を持っていると言えます。

一方で主体性は、もう一歩深く、「なぜそれをやるのか」「どう取り組むのか」を自分で考え、意味づけて動く力です。
つまり、「上司に言われたから」や「決まっているから」ではなく、
「自分としてどうあるべきか」「何を大事にして行動するか」という価値観に根差した判断が、主体性には含まれます。

たとえば、会議の場で「進行役を買って出る」ことを想像してみましょう。

  • 指示される前に動いたなら、それは自主性のある行動です。
  • 会議の目的や全体の生産性を考え、「自分が担うべきだ」と判断したなら、それは主体性のある行動です。

このように、自主性は“行動の早さや積極性”に、
主体性は“行動の背景にある判断や意味づけ”に、フォーカスが置かれる点が大きな違いです。

3.行動の責任まで引き受けることが主体性

主体性という言葉を語るうえで、見逃してはならないのが「責任」という概念です。
一般的には「責任を持って行動する人=主体性がある」とされることが多いですが、
本質的にはそれだけでは不十分です。

本当に主体性がある人は、「行動の結果」までを自分のものとして受け止める力を持っています。
たとえば、自ら提案したアイデアが成果につながらなかった場合、
「現場が協力してくれなかった」「上司が理解しなかった」と環境のせいにするのではなく、
「何が足りなかったのか」「自分にできる改善は何か」を冷静に見つめ、次に活かそうとする姿勢です。

この「行動の責任まで引き受ける」ことこそが、真の意味での主体性を支える要素です。
結果を受け入れ、原因を分析し、次のアクションに繋げていく。
このサイクルが回ることで、個人の中に内発的なPDCAが自然と形成されていきます。言い換えれば、主体性とは「行動力」だけではなく、学びと成長に向かう力でもあるのです。
そしてこの“自責の感覚”を持てる人材は、周囲からの信頼も厚く、
チームや組織全体に好影響を与える存在となっていきます。

4.7つの習慣における「主体的である」という定義

この「責任」の概念を明確に言語化し、行動の選択にまで落とし込んだのが、
スティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣®』の第一の習慣「主体的である(Be Proactive)」です。

ここでいう「主体的」とは、単に自分から動けることではありません。
自分の外側で起きる出来事や、他人の言動、感情、環境といった“刺激”に対して、
「どう反応するか」を自分で選ぶ力のことを指します。

コヴィー博士は、「刺激と反応の間には“選択の自由”がある」と説きました。
つまり、どんなにネガティブな出来事が起きても、
その感情や反応に流されるのではなく、「自分はどう在るか」を自分で決めることができる。 それが“主体的である”ということです。

この定義が画期的なのは、
主体性の対象を「行動」だけでなく「感情」や「思考」「態度」にまで拡張している点です。

たとえば…

  • イライラした時、感情のまま声を荒げるのではなく、深呼吸して自分の反応を選ぶ
  • 上司の理不尽な指摘に落ち込むのではなく、自分の成長の材料として捉える
  • チームの空気が悪いとき、誰かのせいにするのではなく、自ら雰囲気を変える声かけをする

こうした一つひとつの選択こそが、主体的であるという行動であり、
職場の空気、チームの信頼関係、生産性の向上にも直結していきます。中に取り入れてみてください。

5.影響の輪に集中する——自分が動かせることに力を注ぐ

「主体的である」ことを実践するうえで、もうひとつ大きなヒントとなるのが、
7つの習慣での「関心の輪」と「影響の輪」という考え方です。

私たちの周りには、関心のある事柄が無数に存在します。
たとえば、景気の動向、上司の判断、同僚の性格、組織の方針、家族の態度など。
しかし、それらすべてに私たちが直接影響を及ぼせるとは限りません。

コヴィー博士はこの関係性を次のように整理しています。

  • 関心の輪:自分が関心を持っているが、直接コントロールできない事柄
  • 影響の輪:自分の言動や判断によって、働きかけや変化をもたらすことができる領域

主体的な人は、この「影響の輪」に意識を集中させます。
たとえ理不尽な状況に置かれたとしても、「自分にできることは何か?」と考え、
自分が選べる行動、できる工夫、発信できる言葉にエネルギーを注ぎます。

一方、反応的な人とは、外部の環境や他人の言動に影響されやすく、感情や状況にそのまま反応してしまう人のことを指します。こうした人は「関心の輪」にとらわれがちです。
自分ではどうにもできない状況や他者の行動にばかり気を取られ、
結果として行動が止まり、無力感に包まれてしまいます。

主体的である人材は、たとえ状況が不利であっても、
「変えられることに目を向けて動く」姿勢を持っているのです。
その姿勢が周囲に好影響を与え、やがて影響の輪自体を拡大させていくことにもつながっていきます。

この視点は、日々の業務の中でも極めて実践的です。
忙しさや不安、不満があるときほど、影響の輪を見直す。
「今、自分にできることは何か?」と問い直すことが、
“前向きに動く力”を取り戻す第一歩となります。

6.なぜ「第2」ではなく「第1の習慣」なのか?

『7つの習慣®』を初めて手にした方の中には、
「終わりを思い描くことから始める」という第2の習慣の方が“スタート”にふさわしく感じられる方もいるかもしれません。
ゴールを定める、ビジョンを描く——これは確かに大切な出発点のように見えます。

しかし、コヴィー博士は「主体的である」をあえて“第1の習慣”として位置づけました。
なぜなら、どれだけ立派な目標を描いたとしても、
「それを実行するのは誰か?」という問いに対して、主体的な姿勢がなければ始まらないからです。

他人の期待に応えようとして描いた目標、
上司や組織の評価を気にして立てた計画、
これらは本当の意味で“自分の人生”にはなり得ません。

まず最初に必要なのは、「自分の人生は自分が選び、動かしていく」という自覚です。
自分の価値観に基づき、判断し、反応を選び、行動を起こす。
この“選ぶ力”を取り戻すことが、すべての習慣の出発点なのです。

だからこそ、「主体的である」は第一に来る。
それは単なる順番ではなく、人生の主導権を自分に取り戻す宣言でもあります。

7.主体性を育てる研修ではなく、「主体的な人」を育てる

近年、多くの企業が「主体性のある人材を育てたい」と、
研修や制度を通じて自律型人材の育成に取り組んでいます。
実際、最近の研修では、「行動の目的」や「判断の軸」まで立ち返るプログラムも増えており、単なる“動ける人材”から“考えて動ける人材”への転換が進んできています。

しかし、それでもなお現場では、
「行動しているけど、なぜその行動を選んだのかがわからない」
「目的意識はあるが、言動にブレがある」といった悩みも少なくありません。

行動だけでは薄く、目的だけではまだ弱い。
本当に他者に信頼され、周囲に良い影響を与える人材は、自分の“あり方”を基軸に行動しています。
たとえば、「自分はどう在りたいのか」「何を大切にする人間でいたいのか」という視点に立ち、 その価値観や信念に基づいて選び、行動する——そのような人は、発言にも態度にも一貫性があり、 ブレることがありません。
そして、その姿勢は自然と周囲の人間に影響を与えます。

これはまさに、『7つの習慣®』で語られる「主体的である」状態です。
自分の価値観と原則を出発点に、「どう反応するか」を選び、「どう行動するか」を決める。
行動の背景に“自分自身の在り方”があるからこそ、信頼と影響力が生まれるのです。

まとめ

「主体性」という言葉は、ビジネスの現場で頻繁に使われる一方で、
その定義や本質的な意味が人によって異なり、あいまいに捉えられていることも少なくありません。
本コラムでは、“行動すること”にとどまらず、「自分の在り方に立脚して選択する力」こそが、真の主体性であるという視点をお伝えしました。

『7つの習慣®』における「主体的である(Be Proactive)」という習慣は、
まさにこの“在り方”を基盤とし、感情や環境に流されるのではなく、
「どう反応し、どう動くか」を自分で選ぶという、生き方のスタンスを示しています。

仕事や組織の成果はもちろんのこと、
個人としての自律性、信頼性、影響力を高めていくためにも、
この「主体的である」という考え方は、今後ますます重要になるでしょう。

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