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“見方”が変われば育成も変わる――新入社員の声から考える「SEE-DO-GET」の重要性 お役立ちコラム2025.03.26

“見方”が変われば育成も変わる――新入社員の声から考える「SEE-DO-GET」の重要性

新入社員研修の現場でよく耳にするのが、「自信がない」「もっと積極的になりたいけれど動けない」といった声です。
こうした言葉の背景には、スキルや経験だけではなく、本人が無意識に持っている“ものの見方=SEE”が大きく影響していることがあります。
行動や結果を変えたいときに、まず見直すべきは「見方」である――。
本コラムでは、スティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』でも紹介されている「SEE-DO-GET」の視点をもとに、新入社員育成における“見方”の重要性を考えます。
また、上司や先輩の「見方」が部下の行動にも影響を及ぼすこと、そして現代の情報環境が見方を固定化しやすくしている背景にも触れながら、社員育成に求められる視点を探っていきます。

◆ このコラムでわかること

  • 新入社員が「自信がない」「積極的になれない」と感じる背景にある“見方”の正体とは
  • 行動と結果を生み出す「SEE-DO-GETサイクル」の考え方とその影響
  • 上司や先輩の“見方”が、部下や後輩の育成にどのように影響するのか
  • 情報環境の変化によって“見方”が固定化されやすい今、育成に必要な支援とは

1.“自信がない”“積極性がない”と語る新入社員たち――その背景にある見方(SEE)

新入社員研修の場では、「自信がない」「自分から積極的に動けない」といった声をよく耳にします。
その背景には、さまざまな要因が考えられます。

たとえば、研修というフォーマルな場に対する緊張感や、学生から社会人への移行期にある不安・ナーバスな心理状態。
さらに現代では、SNSを通じて他者、特に“うまくやっている人”と常に比較される環境に身を置いているため、「自分はまだまだだ」「周りの人のほうがすごい」といった見方(=SEE)が、無意識のうちに形成されやすくなっています。

そしてその見方が、「行動を控える」「挑戦を避ける」といった選択(DO)を生み、結果として「何もできなかった」「やはり自分は…」という自己認識(GET)につながっていきます。このように、見方が行動や結果に影響を与える構造を、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』では「SEE-DO-GETサイクル」と呼んでいます。

2.行動と結果をつくる“見方”の力――SEE-DO-GETサイクルとは

前項で触れたように、人の行動や結果は、無意識のうちに抱いている「見方(=SEE)」に大きく影響を受けています。
この考え方は、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で紹介されている「SEE-DO -GETサイクル」として広く知られるようになりましたが、
実は、哲学や心理学、教育の分野でも古くから語られてきた普遍的な人間理解の原則でもあります。

「私たちは、物事をあるがままに見ているのではなく、“自分のフィルター(見方)”を通して見ている」
という前提に立つと、行動や結果を変えたいときにこそ、まず「見方」に目を向ける必要があることが見えてきます。

このサイクルは以下のように表現されます。

見方(SEE)→ 行動(DO)→ 結果(GET)

そして得られた結果(GET)は、また新たな見方(SEE)を強化し、サイクルが繰り返されていきます。

◆ 若手社員の例:見方が行動と結果をつくる

たとえば、新入社員研修で「自信がない」と語っていたある若手社員がいたとします。
この社員は、入社後も周囲の先輩と自分を比較し、「自分はまだまだ」「役に立てていない」という見方(SEE)を持っていました。

すると、「わからないことを聞くのは迷惑かもしれない」「自分から発言しても的外れだと思われるかもしれない」と考え、「積極的に質問や発言を控えるという行動(DO)」をとるようになります。

その結果(GET)、上司や先輩からのフィードバックが少なくなり、「やっぱり自分は評価されていない」「やっぱり自信がない」といった自己認識が強化されていきます。

「自分はまだまだだ(SEE)」
→ 「発言を控えよう(DO)」
→ 「反応がなくなる・学ぶ機会を逃す(GET)」
→ 「やはり自分は…」という思い込みが強化される(SEE)

このように、本人の中の“見方”が、現実を形づくっているのです。

3.上司や先輩の“見方”が、部下や後輩の行動をつくる

「見方(SEE)」が自分自身の行動と結果を生み出すという考え方は、
実は他者との関わり――特に育成や指導の場面――にも深く関わっています。

上司や先輩がどのような“見方”で部下や後輩と接するかによって、
相手の行動や結果にも大きな影響が及ぶのです。

◆ 上司の見方が、部下の成長に与える影響

たとえば、ある上司が「新入社員はまだ何もわかっていないから、自分が細かく指示しなければ」と考えていたとします。

この“見方(SEE)”は、「重要な仕事は任せない」「自分から動く前に指示を出す」といった関わり方(DO)につながりやすく、部下は「自分で考えなくてもいい」「間違えないように黙っておこう」と受け身になり、結果として「主体性が育たない」「任せられない」という状態(GET)が続いてしまいます。

上司の見方(SEE):「まだ任せられない」
→ 関わり方(DO):「細かく指示を出す・任せない」
→ 部下の反応(GET):「受け身・指示待ち」
→ 上司の見方がさらに強化(SEE)

このような関係性のループは、部下の成長だけでなく、職場全体の風土にも影響を与えます。

◆ 関わりを変えるには、まず「見方」に気づくこと

「最近の若手は指示待ちだ」「主体性がない」といった声は現場でもよく聞かれますが、本当にそうなのでしょうか?

もしかすると、育成する側の「見方」によって、相手の行動や成長機会が制限されていることもあるかもしれません。

だからこそ、指導・育成においても大切なのは、自分が相手をどのように見ているか=“SEE”に気づくこと
見方が変われば、関わり方が変わり、結果も変わっていく――それは自分自身だけでなく、周囲との関係性にも当てはまるのです。

4.見たいものしか見えなくなる時代――“見方”が固定化されるリスク

“見方(SEE)”は本来、経験や対話、内省によって変化・成長していくものですが、現代の情報環境はその柔軟性を奪いやすい傾向にあります。

◆ SNSや検索エンジンがつくる「フィルターバブル」

SNSやニュースアプリ、検索エンジンなどの仕組みにより、私たちは自分の興味関心に合った情報ばかりを目にするようになっています。
これがいわゆるフィルターバブルであり、知らず知らずのうちに自分の見方を強化し、偏らせる仕組みです。

たとえば、「最近の若手は受け身だ」という見方を持っている人には、
それを支持するような記事や意見が多く表示され、ますますその見方が固定されていきます。

◆ 情報が多いからこそ、意識して「見方」に目を向ける

こうした環境では、異なる視点に触れる機会が減り、
「自分の見方に疑問を持つ」というきっかけすら得にくくなります。

だからこそ今、自分の見方に意識的になることがこれまで以上に重要になっているのです。

5.“見方”を変えることで育成が変わる――現場での活用とヒント

では、育成の現場でこの“見方(SEE)”にどうアプローチすればよいのでしょうか。ここでは、実践の中で取り組める3つのヒントをご紹介します。

◆ ① 相手の行動ではなく、“見方”に目を向ける

行動の背景にある見方に注目し、次のような問いかけで対話を促してみましょう。

  • 「どうしてそう感じたの?」
  • 「それって、どんな前提でそう思ってる?」
  • 「もし別の角度から見るとしたら、どんな見方ができるかな?」

◆ ② 自分自身の“見方”に気づく習慣を持つ

関わる側の自分自身も、以下のような問いを持つことで、自分のSEEに気づくことができます。

  • 「自分はこの人をどう見ているか?」
  • 「その見方は、どんな行動を生み出しているか?」
  • 「別の見方をしたら、関わり方は変わるだろうか?」

◆ ③ 見方を変えるには、意識ときっかけが必要

『7つの習慣』では、こうした“見方の変化”をパラダイムシフトと呼びます。
行動や結果を変えるには、まずパラダイム、つまり“物事の見え方”そのものに気づき、それを柔軟に捉え直していく必要があります。

このパラダイムシフトは、知識や理屈だけで起きるものではありません。
対話や体験、他者との関わりを通じて、初めて変化のきっかけが生まれます。
HuAdでは、『7つの習慣』をベースに、社員一人ひとりが自らの“見方”に気づき、より主体的に働けるようになるための研修を提供しています。
日常では得にくいパラダイムシフトのきっかけを、安全で対話的な場を通して支援することを、私たちの役割の一つと考えています。

まとめ

“見方(SEE)”を変えることは、単なる思考の転換にとどまらず、行動を変え、結果を変え、やがては職場の関係性や育成のあり方そのものを変えていく力になります。情報があふれ、思考が偏りやすい今だからこそ、育成に関わるすべての人にとって、「自分の見方を見直す」ことが、今後ますます重要なテーマになるでしょう。

オーダーメイドの研修手法と運営で企業の課題解決をお手伝いするHuAdでは、企業理念の浸透と実践型研修、愛のある人材育成でインクルーシブな社会創りに貢献していきます。フランクリン・コヴィー・ジャパン認定の専門講師によるHuAdの「7つの習慣®」セミナーや無料体験会を開催しております。お気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。

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