企業研修は個別化してきた!?その背景と集合研修の関係について解説します。 お役立ちコラム2024.12.18
最近の企業研修は「個別化」が進んできていると言われています。その背景と、研修の主流である集合研修との関係を見ていきます。
この記事でわかること
- 企業研修で個別化が進んできた理由
- 個別化研修と集合研修の関係
1.個別化研修が進んできた背景
企業研修といえば、人が集まり、全員が同一の内容を受講するという集合研修のイメージですが、最近では研修の「個別化」が進んでいます。
個別化とは、個々の受講者の興味・関心に合わせて研修の内容や学習方法を調整するという取組みです。
個別化研修が進んできた背景を見ていきます。
(1)働き方やキャリアの多様化
以前と比べて、働き方やキャリアの選択肢が多様化してきました。これらが多様化する中、研修だけが一律のままでは、研修による個々の社員の成長や満足度を十分に高められません。研修も、受講者のキャリア選択等に合わせて個別化されたものを社員それぞれが受講することで、モチベーションや学習効果が高まり、社員の成長そして会社の生産性向上に繋がります。
(2)Z世代の特徴
Z世代は現時点では28歳以下を指します。Z世代は新入社員や若手社員として研修の対象者となるだけではなく、今後は会社の主要世代となり管理職となっていきます。傾向として、自己選択や個人の価値を重視し、自分に関係があると感じる内容に積極的に参加するというところがあります。これに対応するには、個々の関心や目標に合った研修が求められています。
(3)効果測定への親和性
研修にも効果測定が求められますが、その中でも特にROI(投資対効果)が重視されています。一人ひとりの成長が明確に可視化される個別化研修は、企業にとっても有益です。
(4)テクノロジーの進化
このように、個別化研修が必要とされてきても、それに対応する技術がなければ実施が難しいです。しかし、現在はAIの発展により、研修の個別化が技術的に可能になりました。技術の進化が、企業研修の個別化を後押ししています。
2.学校教育における「個別化による学び」との共通点
個別化による学びは、学校教育においても同様です。
文部科学省は、令和3年答申による今後の学校教育方針で、「個別最適な学び」を提唱しています。具体的には、一人一人の特性や学習進度、学習到達度に応じ指導方法・教材や、学習時間の柔軟な提供・設定を行う「指導の個別化」、個人の興味・関心・キャリアの方向性に応じた異なる目標に向けて、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供する「学習の個性化」を提唱しています。これらは、企業研修の個別化と重なる部分が多く、教育現場と企業研修が共にパーソナライズ化の方向に向かっていると言えます。
一方で、文部科学省の答申の中では「協働的な学び」を充実することも重要としています。
すなわち、「個」の学びを大切にしつつも、他者と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができる、必要な資質・能力を育成する「協働的学び」も不可欠と言っています。
(参照)文部科学省 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)【概要】
3.企業研修の「個別化された研修」と「集合研修」との関係
では、企業研修においては、個別化された研修と集合研修の関係はどのようなものになるでしょうか。それぞれの役割から、その関係性を見ていきます。
(1)個別化研修
前述の「個別化研修が進んできた背景」にもあるように、個人の働き方やキャリアが多様化したことに、研修として応えることが目的です。
すなわち、個別化研修は『個々』の能力開発や課題解決を行う役割があります。
(2)集合研修
①組織としての一体感の醸成
集合研修は、同じ場で同じ内容を共有することで、組織の一体感を生み出します。研修の場で、組織全体の価値観や理念を共通認識として浸透させることが可能です。
②社内でのコミュニケーションスキルの向上と心理的安全性の構築
集合研修は、グループワークやディスカッションを通じて、他者と協力しながら課題を解決する能力を高めます。これにより、コミュニケーションスキルやチームワーク力が育まれます。コミュニケーションやチームワークの向上は、企業が研修に求めるものの上位に常に入っており、集合研修の役割は大きいと言えます。
また、他の参加者と直接交流することや、普段交流が少ない他部署や他チームのメンバーと顔を合わせ社内での繋がりを強くすることは、組織内の心理的安全性を高め、職場全体の協力体制の強化がに繋がります。
以上のように、集合研修では『組織』の共通の価値観やスキルを共有することがその役割となります。
(3)集合研修と個別化研修の関係
集合研修の目的は「組織内で共通の価値観やスキルを共有すること」、個別化研修では「個々の能力開発や課題解決」であり、両者はその役割が異なり両立するものです。
企業の成長には、組織と個人の成長のいずれもが必要であり、集合研修と個別化研修がバランスよく存在することが企業の成長や発展に資すると言えます。
集合研修と個別化研修の実施の順番に決まったものはないものの、集合研修を先に行うことをお勧めします。なぜなら、集合研修で全体的な理解を深めた後、個別化研修で各自の課題に取り組むと、学びがより実践的となりその結果効果も上がるからです。
企業が研修を実施するのは、企業の生産性を高め成長していくことが目的なので、先に集合研修により組織の共通の価値観を共有することが順当と言えます。
結論
企業研修は集合研修が当たり前だった時代から、個別化研修という選択肢が増えてきました。組織の一体感やチームワークの効果、価値観の共有といった組織の成長に主眼を置く集合研修と、個人のレベルやニーズに応じたスキル開発を支援する個別化研修を、上手く組み合わせることによって、個人と組織の成長を最大化する研修戦略を構築し、より高い研修効果が得られます。
最後に
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