なぜメンタルヘルス不調となる若手社員が増えて来ているのか? お役立ちコラム2025.01.22

最近、企業で若手社員のメンタルヘルス不調が問題となっています。メンタルヘルス不調が増えた要因と対策について解説します。
この記事でわかること
- メンタルヘルス不調の現状
- メンタルヘルス不調が増えてきた要因
- 不調の若手社員を減らす対策
1.メンタルヘルス不調の現状
(1)メンタルヘルス不調とは、心理的・精神的な負担が過剰になり、心身のバランスを崩してしまう状態を指します。具体的には、強いストレスによる疲弊、不安感の増大、集中力ややる気の低下、さらには抑うつ状態に陥ることを指す場合もあります。
「心身の健康問題」は、昨今の退職理由の上位にも挙げられており、メンタルヘルスの不調が職場環境に与える影響は無視できません。
また、令和6年の厚生労働白書によると、若者(20~39歳)の約3割が「こころの不調を身近に感じる」と回答しています。現代の職場では、特に若手社員がメンタルヘルスの問題に直面しやすく、企業の課題として注目されています。
(参考)令和6年版厚生労働白書
(2)社内でのメンタルヘルス不調が起こる状況の例として、以下があります。
●職場での孤立感
テレワークの普及で職場での対面コミュニケーションが減少し、若手社員が孤立感を抱えるケースが増えています。特に、入社直後の育成施策やプロセスが不十分な場合、組織への適応が難しくなります。
●過度なプレッシャー
人手不足等の問題もあり、現場では即戦力としての期待が高まり、十分な支援がないままプレッシャーにさらされることが多いです。この状態が一時的ではなく長く続くと、メンタルヘルスに悪影響を与えることがあります。
●支援不足によるモチベーション低下
以前に比べて上司や同僚との非公式な関わりが限定的なため、若手社員が相談しにくい環境が生まれています。特に、飲み会などの交流がハラスメント問題への懸念から減少していることも影響しています。
これらの問題は企業のパフォーマンスに大きな影響を与えるため、早急な対応が求められます。
2.問題の原因分析
(1) 社会や社内環境の変化
①急速なテクノロジーの進化により、業務の高度化・複雑化が進んでいます。その影響で若手社員にもより専門的なスキルや自分で考える力が求められるようになりがちですが、若手社員がこれに十分にキャッチアップできないケースがあります。
また、多くの若手社員は、学生時代に「言われたことをやる」ことが中心の教育を受けてきたため、自分で考える訓練が不足しています。その結果、職場で直面する課題に適応しにくい状況が発生しています。これらの要因が複合的に絡み合い、メンタルヘルス不調の背景を形成しています。
②上司や周囲との関わり方やその密度にも変化が見られます。
以前は飲み会やカジュアルな場での交流が若手社員のフォローアップに活用されていましたが、昨今の「ハラスメント」問題により、こうしたウェットな関わりが難しくなっています。
その結果、若手社員が上司や同僚との信頼関係を築く機会が減少し、職場での孤立感が高まる一因となっています。また、リモートワークの増加によって職場でのリアルなコミュニケーションの機会が減少していることも周囲との関わりの薄さに繋がっています。
③また、現在の若手社員は、SNSなどの影響で「他者との比較」や「周囲からの短期的な評価」を気にしすぎる傾向があります。例えば、SNSの「いいね」の数やフォロワーの多さが自己評価に影響を与え、職場でも自分の成果が周囲にどう見られるかに過剰に意識を向けてしまうことがあります。
職場での具体例として、若手社員が同僚の成果発表会や上司からのフィードバックで、自分と他者を比較し劣等感を抱くことがあります。また、短期的な業績評価を気にしすぎるあまり、長期的なキャリアビジョンを考える余裕を失い、目先の成果ばかりを追求する状況に陥ることも見受けられます。こうした環境が、必要以上にプレッシャーを感じさせ、ストレスを増幅させる要因となっています。
(2) マネジメント層のスキル不足
若手社員のメンタルヘルスを支えるためには、マネージャーやリーダー層の適切なサポートが必要です。しかし、マネジメント層自身がそのスキルや知識を十分に持ち合わせていないことに加え、過去の職場文化や教育では、マネジメントのやり方が体系的に教えられてこなかったという歴史的背景も影響しています。これにより、リーダー層が部下への支援や課題解決能力を高める機会が限られている状況が生じています。
(3) メンタルヘルスに対する教育不足
メンタルヘルスの重要性が認識されつつありますが、具体的な対処方法やセルフケアの方法について若手社員が十分に教育されていない場合があります。

3.問題解決のための方法
若手社員のメンタルヘルス不調の原因から、次の解決策を提案します。
(1)定期的な1on1ミーティングの実施
上司が若手社員と定期的に個別面談を行い、業務や精神的な負担について話し合う場を設けます。これにより、社員の不安や悩みを早期に把握し、対応策を講じることが可能になります。
1on1ミーティングの良さは、何より若手社員と対話の機会が増えることです。1on1で向き合う機会が増すと、若手社員が自分の課題や目標を率直に共有できる環境を作り出すことができます。また、これを社員のキャリア目標やモチベーション向上を図る機会として活用することで、離職率の低下や業務への意欲を高める効果も期待できます。上司との対話を通じて、信頼関係が深まり、長期的なパフォーマンス向上につながります。
(2)マネジメント層の育成強化
1on1の実施も含め、マネジメント層が若手社員のメンタルヘルスを支えるためには、マネジメント層向けに、メンタルヘルスサポートに特化したトレーニングが必要です。
「部下のストレスサインを見抜く方法」といったメンタルヘルスに直結するものはもちろんのこと、他にも「建設的なフィードバックを行うスキル」といったコミュニケーションスキルや共感力を高めるトレーニングを実施し、メンタルヘルス不調の兆候を見逃さない能力を育てます。
また、研修やトレーニングだけではなく、マネジメント層向けに成功事例を共有する月1回のワークショップを実施することで、それぞれの支援能力が向上されるだけではなく、マネジメント層の繋がりの強化にも繋がります。
(3)メンタルヘルス研修の実施
若手社員向けに、メンタルコントロールやストレスマネジメントの研修を開催します。その内容は、メンタルヘルスの基礎知識とセルフケア方法について学ぶことです。
基礎知識を学ぶことで、ストレスの仕組みがわかり、ストレスサインに早期に気づく可能性が高まります。また、知識の習得によりメンタルの状態を客観的に把握することができます。
セルフケアについては、自己肯定感を高める方法、日々のストレスを軽減するための具体的なリラクゼーション技術(例: 呼吸法やマインドフルネス)等の実践的なものを学びます。
さらに、グループディスカッションを通じて社員同士の共感を深める場を設け、孤立感の軽減と相互サポートの意識向上を目指します。
「メンタル」という目に見えないために対処が難しそうなものを、メンタルもある程度コントロールできる技術であることを知るのは重要です。有名なところでは、大リーグの大谷選手は日々のルーティンやセルフコントロールを徹底することで、メンタルコントロールをしています。
(4)エンゲージメント向上施策の推進
ここで言うエンゲージメントとは、仕事に対してポジティブで充実した心理状態のことです。
エンゲージメントを向上させるための施策として、若手社員が自分の仕事に価値を感じられるよう、キャリアパスの明確化や適切な目標設定を行います。そして、社員の成果や努力を適切に評価する文化を育むために、具体的な評価基準を設定し、透明性のあるフィードバックを提供します。
また、社員の意見を取り入れる仕組みを整え、業務改善やプロジェクトに参加できる機会を増やします。これにより、社員が自らの役割に充実感を感じ、チーム全体のエンゲージメントが向上します。社員の成長を支援するためのリーダーシップ研修やメンター制度を導入し、上司と部下の信頼関係を深める取り組みも行います。
結論
若手社員のメンタルヘルス不調が増えて来たのは、社会や社内の環境の変化や今の若手社員の特徴が関係しています。会社としては、社内での若手社員への関わりを増やすことや、メンタルヘルスやセルフケアに対する知識や実践に触れる場を設けることができます。これらを実行することは、若手社員にとって働きやすい環境になるだけではなく、他の階層の社員も含め会社全体の居心地の良さ、風通しの良さに繋がり、生産性向上に寄与します。
最後に
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