「リスキリング」の背景と現状 お役立ちコラム2024.11.27
最近よく耳にする「リスキリング」ですが、正確にはどういう内容なのでしょうか。リスキリングとは何か、そして日本でのリスキリングの現状について解説します。
「リスキリング」という言葉が生まれた背景や、他の似た概念との違いを確認し、リスキリングとは何か、その目的や効果、日本における現状を確認します。
この記事でわかること
- 「リスキリング」が出てきた背景
- リスキリングの目的
- 「リカレント教育」などとの違い
1.リスキリングが注目され始めた背景
リスキリング(Re-skilling)とは、経済産業省の定義によると「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する(させる)こと」です。
職業能力の再開発、再教育という意味では、その考え方は産業革命の時代からありましたが、現在の「リスキリング」の概念が世界的に注目され始めたのは、2010年代になってからです。ダボス会議(世界経済フォーラム年次会議)にて、2018年には「リスキル革命」、2020年には「リスキリング革命」が発表されました。
この背景には、DX化による技術の進展やグローバル化があげられます。技術の進展により、AIが人に取って変わる分野が増え、10年以内に事務職や生産職で大幅な人員余剰が出てくると予想されました。他方で、デジタルに関連する専門職・技術職は不足していきます。この問題に対応する手段として、新たに外部から人材を採用するのではなく、今ある人材にスキルを身に付けてもらうことで、スキルギャップを埋めて技術の進展についていくことができます。このように、企業の事業発展のため、現職の人々に積極的に新しいスキルを習得し職業教育を提供することが必要になってきたのです。
ダボス会議で発表された2020年時点の日本では、社会人の教育に関して注目されていたのは、「人生100年時代」を生き延びるための「リカレント教育」であり、「リスキリング」についての関心はそこまで高くはありませんでした。
2.日本での背景
その後日本で本格的にリスキリングが注目され始めたのは、日本経済新聞で「リスキリング」が取り上げられるなどした2021年頃です。2020年からのCOVID-19パンデミック以降、デジタル技術の急速な進展とリモートワークの普及により、従来の仕事のやり方に代わる新しいスキルの必要性が高まったこととも関係します。
そして、2022年10月には岸田首相がリスキリングのための支援制度を総合政策の中に盛り込む考えを表明するなど、日本国内でもリスキリングに関心が高まってきているのが現状です。
3.リスキリングの目的
リスキリングが注目された背景として、技術の進展についていくためのスキルアップだと述べました。これは企業が、企業活動やビジネスの変化に適応するために考えた「企業施策」です。スキルアップにより現職の価値が創出されれば、企業内において、①人材の育成、②業務の効率化、③人材採用や育成コストの抑制に繋がります。すなわち、事業の成長に密接に関連します。
実際に、現職にスキルアップしてもらうリスキリングコストは、採用コストの6分の1に抑えられたというデータも出ています。
前述のように、現在は国を挙げてリスキリングを推進しており、各省庁でも様々な取り組みがなされています。その一つとして、厚生労働省では、「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の特設サイトを設け、企業を支援しています。
(参照)職場における学び・学び直し促進ガイドライン特設サイト
4.リスキリングとリカレント教育、アンラーニングとの違い
リスキリングと比較される概念として、「リカレント教育」「OJT」「アンラーニング」があります。
「リスキリング」は、前述のように企業活動やビジネスの変化に適応し、現職における価値を創出するためという「企業施策」です。
一方で、「リカレント教育」とは、学校を卒業して就職後に、必要に応じて教育を受けることを指します。人生100年時代に、「学ぶ(教育)→働く」で終わるのではなく、就職後にもまた職を離れて学びの場に戻る「学ぶ→働く→学ぶ育」とサイクルを回していくことを意味します。ここでは、主体は企業ではなく社会人という個人です。企業の役割はこれらをサポートするに留まります。
また、「OJT」は、既に所属している部署で、既にある業務に関連して行われます。リスキリングは、今はない部署、今はない業務について「新しく」学ぶことです。
最後に、アンラーニングは「学習棄却」です。すなわち、過去に学んだ知識を捨て、新しく学び直すことです。過去に学んだことが、現在でも有効有用か、必要ないものがないかを確認して取捨選択することです。
結論
リスキリングとは、DX化が加速する中で私たちが、企業が、生き残っていくために必要な戦略です。現状は政府も補助金などで支援をしています。これらを上手く活用して、DX化の波にのまれず上手く活用していくのが得策と言えます。
最後に
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