若手が管理職になりたがらない理由とは?|次世代リーダー育成に必要な職場づくり お役立ちコラム2026.07.29
近年、多くの企業で「若手が管理職になりたがらない」という課題が聞かれるようになりました。
人事担当者や経営層、現場の管理職の方からも、
「若手社員が昇進に前向きではない」
「管理職候補として期待している社員が、リーダーになることに消極的」
「責任ある立場を任せようとしても、本人の反応が薄い」
「次世代リーダーがなかなか育たない」
といった相談を受けることがあります。
以前であれば、昇進や役職に就くことは、キャリアアップの分かりやすい目標の一つでした。
しかし現在は、必ずしもすべての若手社員が管理職を目指しているわけではありません。
では、なぜ若手社員は管理職になりたがらないのでしょうか。
今回は、管理職になりたくない若手が増えている背景と、次世代リーダー育成に向けて企業が見直したい職場づくりについて解説します。
若手が管理職になりたがらないのは、上昇志向がないからなのか
若手社員が管理職を目指さない理由について話す時、
「最近の若手は上昇志向がない」
「責任を負いたがらない」
「出世に興味がない」
「大変なことを避けたがる」
といった声が出ることがあります。
たしかに、昔に比べると「早く出世したい」「管理職になりたい」とはっきり言う若手社員は少なくなっているかもしれません。
しかし、それを単純に「向上心がない」と捉えるのは早いのではないでしょうか。
若手社員は、管理職という役割をよく見ています。
そして、日々の上司や先輩の姿を見たうえで、
「自分はあの立場になりたいだろうか」
「管理職になることで、自分の働き方は良くなるのだろうか」
「責任に見合うやりがいはあるのだろうか」
と考えています。
つまり、若手が管理職になりたがらない背景には、本人の意欲だけでなく、管理職という役割がどのように見えているかが大きく関係しています。
若手社員は管理職の“現実”をよく見ている
若手社員は、日々の職場で管理職の姿をよく見ています。
例えば、
- 朝から晩まで忙しそうにしている
- 会議や報告に追われている
- 上司と部下の板挟みになっている
- 数字管理やトラブル対応に追われている
- 部下育成まで手が回っていない
- 責任は重いのに、あまり楽しそうに見えない
- 苦労のわりに報われているように見えない
このような姿を見ていると、若手社員が、
「管理職になると大変そうだ」
「責任ばかり増えそうだ」
「自分の時間がなくなりそうだ」
「今より幸せに働けるイメージが持てない」
と感じるのは自然なことです。
若手社員は、管理職を肩書きとしてだけ見ているわけではありません。
実際にその立場の人が、どのように働き、どのような表情で仕事をしているかを見ています。
その姿が魅力的に映らなければ、「自分もそうなりたい」とは思いにくくなります。
「責任だけ増える役割」に見えると、管理職は目指されない
若手社員にとって管理職が、
- 仕事量が増える
- 責任が重くなる
- 人間関係が難しくなる
- 部下対応に悩む
- 上司からも部下からも求められる
- 自分の時間がなくなる
という役割に見えている場合、管理職になりたいと思いにくくなります。
もちろん、管理職には責任があります。
簡単な役割ではありません。
しかし、管理職には本来、責任だけでなく大きなやりがいもあります。
例えば、
- 部下の成長に関われる
- チームで成果を出せる
- 周囲を巻き込みながら仕事を進められる
- 自分一人ではできない成果をつくれる
- 職場の雰囲気や組織文化に良い影響を与えられる
といった価値があります。
ところが、職場の中で管理職の大変さばかりが見えてしまい、面白さややりがいが伝わっていないと、若手社員にとって管理職は「責任だけが増える役割」に見えてしまいます。
次世代リーダー育成を考えるうえでは、管理職の魅力が若手社員に伝わっているかを見直すことが重要です。
若手社員は「偉くなりたい」よりも「納得して働きたい」
現在の若手社員は、以前よりも、
- 自分にとって意味があるか
- 納得して働けるか
- 自分らしいキャリアを描けるか
- 無理なく続けられるか
- その役割に価値を感じられるか
を大切にする傾向があります。
これは、決して成長意欲がないということではありません。
むしろ、自分のキャリアや働き方について、真剣に考えているとも言えます。
若手社員は、ただ役職が上がることだけに魅力を感じるのではなく、
「その役割を担うことで何ができるのか」
「自分はどのように成長できるのか」
「誰にどのような影響を与えられるのか」
を見ています。
だからこそ、若手社員に対して、
「管理職になれば分かる」
「みんなそうやってきた」
「若いうちはまず責任を持つべきだ」
と伝えるだけでは、納得感につながりにくい場合があります。
必要なのは、管理職という役割の意味を丁寧に伝えることです。
次世代リーダーが育たない職場の共通点
次世代リーダーが育ちにくい職場には、いくつかの共通点があります。
1.管理職の魅力が語られていない
管理職の大変さや忙しさは語られていても、やりがいや面白さが語られていない職場では、若手社員が管理職を目指す理由を見つけにくくなります。
「管理職は大変だ」
「部下育成は難しい」
「数字責任が重い」
といった話ばかりでは、若手社員は前向きなイメージを持ちにくくなります。
2.管理職が疲弊して見える
現場の管理職が常に疲弊していると、若手社員にとって管理職は「目指したい姿」ではなくなります。
管理職自身が余裕を失い、やりがいを感じられない状態では、次世代リーダーの育成にも影響が出ます。
3.小さなリーダー経験が不足している
若手社員にいきなり「将来は管理職を目指してほしい」と伝えても、本人には実感が湧かないことがあります。
人を支える経験、意見をまとめる経験、後輩に教える経験、プロジェクトを進める経験がなければ、リーダーの面白さや難しさを知る機会がありません。
4.昇進後の支援が見えない
「管理職になったら、あとは自分で何とかするもの」という雰囲気があると、若手社員は不安を感じます。
管理職になる前だけでなく、昇進後も相談できる仕組みや学べる機会があるかどうかは、若手社員にとって重要な判断材料になります。
若手リーダー育成には「管理職の意味づけ」が必要
若手社員に管理職を目指してほしいのであれば、まず必要なのは、管理職という役割の意味づけです。
管理職とは、単に責任を負う立場ではありません。
自分一人で成果を出すのではなく、チームで成果を生み出す立場です。
部下の成長を支援し、職場の雰囲気をつくり、組織の方向性を現場に伝える役割でもあります。
例えば、
- チームの力を引き出すこと
- 部下の成長を支えること
- 職場の心理的安全性を高めること
- 組織の方針を現場の行動につなげること
- 周囲を巻き込みながら成果をつくること
これらは、管理職だからこそ担える重要な役割です。
若手社員は、役職名そのものよりも、その役割を通じて何ができるのかに関心を持っています。
そのため、次世代リーダー育成では、管理職の責任だけでなく、役割の価値や面白さを伝えることが大切です。
いきなり管理職ではなく、小さなリーダー経験を積ませる
若手社員を管理職候補として育てるためには、いきなり大きな役割を任せるのではなく、小さなリーダー経験を積ませることが効果的です。
例えば、
- 会議の進行を任せる
- 後輩への簡単な指導を任せる
- 小さな改善活動の中心役を担ってもらう
- チーム内の意見をまとめる役割を経験してもらう
- プロジェクトの一部分を主体的に進めてもらう
- 新入社員や後輩の相談役を担ってもらう
こうした経験を通じて、若手社員は、
「人を支えることにはやりがいがある」
「周囲を動かすことは難しいが面白い」
「自分にもリーダーとしてできることがあるかもしれない」
と感じるようになります。
管理職を目指す気持ちは、最初から強い上昇志向がある人だけに生まれるものではありません。
小さなリーダー経験の積み重ねの中で、役割の意味や面白さに気づくことも多いのです。
管理職候補を育てるには、昇進前から支援が必要
管理職候補を育てる際には、昇進してから教育するのではなく、昇進前から段階的に支援することが重要です。
例えば、
- リーダーシップの基本を学ぶ機会を設ける
- 後輩指導やOJTの考え方を学ぶ
- 1on1やフィードバックの方法を学ぶ
- 小さなプロジェクトを任せ、振り返りを行う
- 先輩管理職との対話機会を設ける
- 管理職の役割や期待を事前に伝える
こうした準備があることで、若手社員は管理職への不安を少しずつ解消できます。
「管理職になったら急に役割が変わる」のではなく、若手のうちからリーダーとしての視点や経験を積むことが、次世代リーダー育成につながります。
若手が目指したくなる管理職像を、組織が見せられているか
若手社員が管理職になりたがらない時、私たちはつい若手側の意識を変えようとします。
もちろん、若手本人の成長意欲やキャリア意識を高めることも大切です。
しかし同時に、組織側も問い直す必要があります。
「この職場は、若手が目指したくなる管理職像を見せられているか」
管理職が、
- 部下に真剣に向き合っている
- チームを前向きにしている
- 苦労はあってもやりがいを持って働いている
- 周囲から信頼されている
- 自分の役割に意味を感じている
そんな姿を見せていれば、若手社員の見え方は少しずつ変わります。
逆に、管理職自身が常に疲弊し、
「管理職は損な役回りだ」
「できればやりたくなかった」
「責任ばかりで報われない」
という空気を出してしまうと、若手社員はその役割を目指しにくくなります。
次世代リーダー育成は、若手研修だけで完結するものではありません。
今いる管理職の在り方そのものが、未来のリーダー候補を育てているのです。
企業が取り組みたい次世代リーダー育成のポイント
若手社員の管理職離れを防ぎ、次世代リーダーを育てるためには、次の3つが重要です。
1.管理職の役割と魅力を言語化する
管理職は大変な役割である一方で、チームで成果を出し、人を育て、組織に影響を与えられる役割です。
その価値を若手社員に伝えることが大切です。
2.小さなリーダー経験を積ませる
いきなり管理職を目指させるのではなく、会議進行、後輩指導、改善活動など、小さなリーダー経験を通じて、役割の面白さを体験させます。
3.昇進前後の支援体制を整える
管理職になる前から、リーダーシップや部下育成、フィードバック、マネジメントの基本を学ぶ機会を設けることが重要です。
また、昇進後も相談できる仕組みをつくることで、不安を軽減できます。
まとめ|若手が管理職を目指したくなる職場づくりを
若手社員が管理職になりたがらない理由は、単に上昇志向がないからではありません。
若手社員は、
- 管理職がどのように働いているか
- その役割にどのような意味があるか
- 自分がその立場で働くイメージを持てるか
- 昇進後に支援してもらえるのか
をよく見ています。
だからこそ、次世代リーダー育成において重要なのは、
「管理職を目指しなさい」と伝えることだけではありません。
若手社員が、管理職という役割に意味や魅力を感じられる職場をつくることです。
そのためには、
- 管理職の魅力や意味を伝える
- 小さなリーダー経験を積ませる
- 現在の管理職がやりがいを持って働く姿を見せる
- 昇進前後の支援体制を整える
ことが求められます。
管理職は、責任が増えるだけの役割ではありません。
人を育て、チームを動かし、組織に良い影響を与えられる価値ある役割です。
その魅力が若手社員に伝わった時、次世代リーダー育成は少しずつ前に進み始めるのではないでしょうか。
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