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朝礼で話したくなる人材育成1分間コラム「利他の心」

京セラの創業者で日本航空の再建にも力を発揮した稲盛和夫さんがいつも口にされる言葉あります。
「利他の心」です。
稲盛さんはもともと技術者です。
京セラ創業の目的は「稲盛和夫の技術を世に問う」ためだったと言いますのでご自身でも技術にはかなり自信があったのではないでしょうか。

20代で会社を設立し数年後には社長となりました。
しかし、技術的なことならわかっても経営的なことは素人同然です。
どのように組織を運営すればいいのかとずいぶん悩んだそうです。

新たな事業を始めるのですから儲けなければならないことは誰にでもわかります。
だからといって儲けることだけを会社の基準にしてしまうと従業員は付いてきてくれないのではないか
顧客や取引き先は信用してくれないのではないか
そんなことを考え続けたといいます。

結局、稲盛さんは儲けることを大原則としました。
それと同時に、物事の善悪を経営の基準としました。
儲ける事を目指すとともに人間としてやっていいことと悪い事を考えながら会社を運営することにしたのです。
これなら、誰にでも受け入れられ信用も増すと考えたのです。

ところが、次第に別のことに気がつきます。
損得勘定や善悪以外に人の判断や行動を左右しているものがあったのです。

それは利己の心です。
つい自分の都合を優先したり自分を良く見せようとしている利己の心が時として損得勘定や善意よりも優先されてしまうのです。

そこで、稲盛さんは人間として正しいことを考えるだけでは十分ではないと考えもう一つの価値観に至ります。
それが「利他の心」です。
「他によかれかし」と、考えることです。
善い事をするとともに他人のためになることをする。
この原則を会社経営にあたる際の理念と据えました。

西郷隆盛も稲盛さんも表現は異なりますが同じことを言っているのだと思います。
自分を中心に考えてはいけないということです。
自分のことを大事に考えて可愛がりすぎると視野が狭くなって自分を冷静に省みることができません。周囲の人から協力を得ることも難しくなります。

組織の中に少数でもこのようなタイプが存在しているとその弊害が蔓延することもあるでしょう。
幹部は、自分の心に己を愛する心が起こっているのではないかと折にふれて省みる必要があります。
そして、他人のために善かれと思う行動を取るように心がけて下さい。
他人とはある時は会社の仲間そして、お客様、取引先自分を取り囲む全ての人です。
利他の心を色々な場面で発揮して下さい。

Human Ability Development ヒューマン・アビリティ・デベロップメント