【コラム】「A面B面」

明けましておめでとうございます。
「光陰矢のごとし」と言いますが、
一年が瞬く間に過ぎていっているここ数年です。
歳をとることに反比例して、心理的な時間の長さは短く感じるそうです。
私もビジネス人生はもう半分ないと思って活動していきます。

ところで、昨年の暮れにアルピニストの野口健さんの講演を
お聞きする機会がありました。
ご存知の方も多いと思いますが、野口さんは7大陸最高峰の最年少登頂を
成し遂げたことで有名な方です。また、それだけではなくエベレストや
富士山のゴミ清掃、地球温暖化の活動で注目を集めています。

その野口さんに大きな影響を与えたのは、外交官だったお父様の存在です。
野口さんがエジプトに住んでいる時、観光でピラミッドを見た帰りに
スラム街に立ち寄り、現実の世界を目の当たりにされました。
ピラミッドは観光客で溢れ優雅な世界ですが、スラム街は赤痢やコレラが
蔓延し病院に行けず、治療もできない人がたくさんいる世界です。

お父様が『あのピラミッドはA面で、スラム街はB面。
A面というのは放っておいても見えるけど、B面はあえて行かないと見えない』
とおっしゃったことが、野口さんの活動に大きな影響を与えているそうです。

エベレストや富士山は、雄大で美しいA面があると同時に、
産業廃棄物やゴミで溢れているB面の現実があることを知り、
現在の活動に力を入れているとお聞きしました。

経験が多く、長くなると今見えているものが全てになりがちですが、
実は自分には見えていないものがあるのだと感じました。
この一年、さらに人や物事に対して、目を凝らして見ていく
ようにしていきます。
本年も社員一同、よろしくお願い申し上げます。